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最高裁判所第一小法廷 昭和50年(オ)2号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人林弘、同岡原宏彰、同西谷八郎次の上告理由について

原審の適法に確定したところによると、前訴判決は、訴外西東みす子が被上告人との間の販売店契約に基づき被上告人に対して負担した売買代金債務は金四二〇万九四七三円であるが、上告人及び訴外八木幾子の連帯保証債務は継続的保証であるから、これに身元保証に関する法律五条の規定を類推適用すべきであるとし、諸般の事情を考慮のうえ、上告人及び八木に対しては、西東の右売買代金債務のうちそれぞれ金五〇万円の限度において責任を負わせるのが相当である旨判示し、上告人及び八木に対し、それぞれ金五〇万円及びこれに対する上告人については昭和四四年二月一八日から、八木については同年一月一五日から各完済までの遅延損害金の支払を命じているというのである。右事実によると、前訴判決は、上告人及び八木の連帯保証人としての責任を緩和し、金額的な有限責任を定める趣旨において、右両名の責任の額をそれぞれ金五〇万円の限度に制限したものであつて保証債務自体の額を減縮したものではないと解するのが相当であるから、八木が前訴判決所定の責任額につき債務の弁済を完了したとしても、主債務がなお残存しているかぎり、八木の弁済によつて上告人の責任額につき保証債務消滅の効力を生ずるものではないといわなければならない。これと同旨に帰する原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原判決を正解しないでこれを非難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 団藤重光 裁判官 下田武三 裁判官 岸 盛一 裁判官 岸上康夫)

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